皆さんも興味があると思うので、ここで巷を賑わすことになった“スルガ銀行の報道”がアパートローンに与える影響を整理してみたいと思います。
“スルガ銀行の報道”は何が問題なのか?
→いろいろな問題を投げかけてくれました。
銀行にいる私としても非常に影響が大きく、しかも拡大
しているのが気がかりです。
スルガ銀行は、ほとんどの他の銀行が法人と個人の二部
門で業務展開している中、数年前から“個人のローン”に
特化し利幅の高いローンを積極的に展開することで成長
を遂げてきました。
(法人・リテール部門自体はありますが・・・)
当時の金融庁の森長官も、このビジネスモデルに期待を寄
せ、他の地銀にも独自の経営戦略を促したのでは?
と言われてるほど特徴的な路線を築いていたことは間違い
ありません。
特に、不動産投資に対して、投資家が利用し易い商品性を
作りあげたと言えます。
そういう意味では優良な地方銀行だったことでは間違いは
ありません。
今回の問題の論点は、ガバナンスも含めていろいろ有りま
すが、この問題が他の銀行に与えている影響が大きいこと
をここではお話します。
少し昔の話からしますかが、日本の銀行は、世界的には
元々少し変わっていて、バブル崩壊の強い教訓が未だに
亡霊の様に取憑いており「不動産投資」=「悪」「リスクが高い
」との意識が非常強く、これは欧米の金融機関から見ても
極めて「変」な状況です。
銀行からしてみると当時、公的資金投入まで受け、その後
メガバンクに集約するきっかけが言うなれば「不動産投資」
だった訳ですから、ある意味では仕方がないのです。
その位、当時の銀行は「不動産投資」でダメージを受けまし
た。
近年では、数年前から、国の戦略の一環として「貯蓄から
投資へ」と株式市場を中心とした自己責任に基づく運用を
一般の国民にも広く奨励し始めています。
スルガ銀行もその国の戦略を理解し、ビジネスモデルを変更
してきた訳です。
「投資を国民に浸透させる」という国の方向性を後押しする意
味では、“不動産投資”の復活は自然な流れでした。
しかしながら、先に説明した通り、銀行自体が“不動産投資”
にアレルギーを持っている為、躊躇している銀行が多い中で、
先頭を切って走っていたと言っても過言ではない程、特徴的
なビジネスモデルの変換をスルガ銀行は図っていました。
スルガ銀行の業績拡大が他の銀行の経営方針にも影響し、
今回のスルガ銀行の報道がされる迄の間にかなりの数の銀行
が不動産投資に対するローンを積極的といえる程方針を変え
て、競争が行われていました。
その様な中で今回の問題が発生していますので、銀行業界と
しては“悪夢再来”ということなのです。
但し、バブル崩壊時と違って銀行の損失云々の規模の話では
なく、マインドとして不動産投資に対して後ろ向きになった
と言わざるを得ません。
また、そのタイミングで金融庁は今回の報道を重く見て、各
銀行への調査を一斉に行いました。
銀行業界は少し変わったところが有り、金融庁から「●●とし
なさい」と指導される前に、保守的に「これからは●●する様
に致します」とルール厳格化に舵切る傾向があります。
従って、金融庁が投資不動産向けのローンを厳しくする指導
をしているのではなく、銀行業界の方で保守的に不動産投資
の厳格運用をすることを検討し、各銀行が同じ様に厳格運用
になってしまっていくことが想定されます。
これはどういうことかと言えば、不動産投資に対して従来通
りにローンが付かないということを意味しています。
ですから、今、不動産投資をはじめるのは、時期として最悪
なのかも知れません。
その位、スルガ銀行の報道は銀行業界を巻き込んだインパクト
の大きなニュースなのです。
それでは、皆さんは不動産投資が出来なくなるのか?銀行ローン
が出ないのか?と疑問になると思いますが、「今は」「当面は」とい
うのがキーワードとなります。
要するに、銀行は上記の様な理由から投資不動産用のローンは今は
出にくい環境であることは否めませんが、銀行も営利企業ですので
、6ヶ月、1年程度では少しづつ緩和されていくはずです。
過去から同じ様なことを繰返しており「時代は廻る」 と言う言葉通
りの状況となっています。
今は、不動産投資の知見を高めるタイミングと捉えることが良いと
考えます。
個人的な見解ではありますが、不動産の価格はローンが出なくなる
ことを考えれば、確実に下がると思われます。
今が異常に高いタイミングである為、価格調整が入ると考えれば良
いことかもしれません。